研究・業績RESEARCH & ACHIEVEMENTS
薬剤部では、薬の適正使用を推進することを目的とし、実臨床で経験するこれまで報告されてこなかった副作用や著効を示した薬剤の組み合わせなどを詳細に解析することで、原因を追究する研究を実施しています。また、日々実施している業務改善の効果を費用面も含め実証する研究も推進しています。さらに、薬剤部で自己保有する質量分析装置を駆使し、薬物中毒の原因物質を簡易に特定できる方法論の構築に挑んでいます。
薬の未変化体や代謝物の血中濃度は、患者の年齢、性別、生活習慣、嗜好、基礎疾患や併用薬などの環境要因と、薬の組織移行性に関わる薬の輸送担体や薬物代謝酵素の活性に影響を受けます。多くの場合、薬の組織濃度と血中濃度は相関することから、薬の未変化体や代謝物の血中濃度は効果や副作用を正確に把握するための重要な情報です。そこで、薬剤部ではさまざまな薬剤の血中濃度を測定し、薬物療法の適正化を目指して研究を推進しています。さらに、薬物の血中濃度推移を予測する方法論の開発にも挑んでいます。
同じ標的分子をターゲットにする薬でも、併用薬や併存疾患など患者背景の違いによって有害事象の発現頻度が高くなる場合があります。薬剤部では、当院に蓄積されてきた診療情報を解析し、有害事象の発現頻度上昇を惹起する患者背景を特定することで、より安全な薬物療法提供を可能にする情報を収集しています。さらに、後発医薬品やバイオ後続品への切り替えによる病院経営への貢献だけではなく、切り替えによる治療効果および安全性に与える影響を評価し、経済的かつ安全な薬物療法の情報基盤の構築を目指しています。
当院は、三次救急医療機関であり、薬毒物の急性中毒患者も多く搬送されてきます。急性薬毒物中毒の診療において、原因物質の特定は侵襲性の高い治療の実施基準になりますが、さまざまな薬毒物を入手できる現代において、原因物質を特定するのは困難です。また、血中濃度が有害事象の指標となる薬剤は多いものの、分析することで診療報酬が得られる薬剤はほんの一部です。薬剤部では、さまざまな薬毒物の定性分析を実臨床で実施可能な体制構築を目指した研究を展開しています。
薬剤部で行う臨床研究は、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(以下、倫理指針)に従って行っています。また、薬剤師が業務で得たデータをもとに、倫理指針の適用外である症例報告や業務改善の研究を行うこともあります。 研究を行うにあたっては、個人情報の取り扱いに細心の注意を払い、個人情報を研究以外の目的で使用することはありません。また、研究によって得られた結果は、個人が特定できない形で学会発表や論文などによって公開する予定です。 研究成果を通じて、多くの患者さんが安心、安全な薬物治療を受けられることに寄与するものと考えておりますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。
薬剤部で実施している臨床研究(公示)